海外の取り組み

欧米を中心にホームベースドエデュケーションは豊かな展開が見られます。国の教育制度の中に位置づいて経済的な支援がある国もあります。

イギリス

 イギリスは1970年代から全国的なホームベースドエデュケーション家庭のネットワークができて、交流の盛んな社会です。親たちの毎月の例会が開かれたり、ホームベースドエデュケーションをしている家族が全国から集まってくる大会が毎年開かれたりしています。相談体制も充実していて、発達障害がある子どもの相談電話、片親の相談電話などがあります。また、個別の家庭同士のつながりあいも盛んで、カラオケ大会を提案する家庭が日時と場所を設定してつながりあっている家庭に呼び掛けて開くとか、河原のバーベキューを企画する家庭が準備・提案をして行ったり、卓球大会を企画・提案したり、自分たちだけではできないようなことも楽しんでいます。

 子どもが学校に合わなくてホームベースドエデュケーションを始める家庭もたくさんありますが、子どもが学齢になる前から情報を集めて親子で相談をして学校を経験せず始めからホームベースドエデュケーションという家庭もあります。

ニュージーランド

 ニュージーランドはホームベースドエデュケーションがもっとも国によって厚遇されている社会の一つです。ホームベースドエデュケーションは教育の一つの在り方として制度上も選べるようになっているだけでなく、子どもの人数に応じて教育費が支出されています。家庭の独自の教育理念が尊重されるようにできるだけ管理的にならないように、かといってネグレクトのような虐待が起きないようにもしなければいけません。

 ホームベースドエデュケーションを選ぶ家庭は、所定の申請書にホームベースドエデュケーションを選ぶ理由、どのような教育をするのかという計画などを書き申請します。基本的に不備が無ければ受理され、開始することができます。支給される教育費も領収書などを見せる必要はありません。ただ、定期的な報告を怠ったり、虐待の通報があるなどする場合は立ち入り検査の対象となります。

アメリカ

ホームベースドエデュケーションという言葉はアメリカ生まれですが、アメリカで一般的なのはホームスクーリングという言葉です。多様なホームスクーリングが行われていて、学校と同じようなカリキュラムを家でこなすものもあれば、教会に集まって少人数のグループで親や牧師などから勉強を教わるものなどもあります。それは、動機にも多様性があり、公立学校の治安が悪く学校に行く方が危ないとか、学校の教育の質に不満があるという理由から始める人たちもいれば、キリスト教の信仰の在り方から始める人もいたり、様々です。

その中で、ホームベースドエデュケーションは、カリキュラムに子どもを合わせさせるのではなく、あくまで学ぶ子どもが中心にいて、その子の興味や関心、ペースに合った学びを実現していこうというものです。全州で合法化されていますが、特に東部でさかんです。マサチューセッツ州の中心都市ボストンにはホームベースドエデュケーション家庭が学びの資源を借りたり、ワークショップに参加したりできるラーニングセンターがいくつかあります。フリースクールと連携したホームベースドエデュケーションのプログラムもあります。